GWのガイガーカウンタ自作チャレンジ(2台目) アーカイブ
以下、2011年のGW中に行ったガイガーカウンタの自作の記録。1台目は、チェルノブイリ原発事故のときに作りましたが、回路設計が甘く、余り精度が良くないので、GM管も手に入ったので、2台目を作る事にしました。
また、与えられた回路図通りに作るキットを使う電子工作とは別に、手に入った部品で、臨機応変かつアドホックに回路を構築して行くRPG的な右往左往のあるサバイバルな電子工作っていうのも、楽しいこと。以下、日割りで、製作記事を掲載してます。
注) 申し訳ないのですが、以下の回路図で、3倍圧回路のダイオードの3本の極性は逆に記載されてます。ご注意下さい。この記事の最後に、正しい回路図を掲載致します。
【2011年4月29日】
今日は、千石電商に出現したガイガーミュラー(GM)管(RAYTHEON社製CK1026)をゲットー。これは、もう、生産してないデットストックとのこと。
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あと、千石電商で、DSO nano v2(下写真)もゲット。これで、GM管の信号をキャプチャだね。DC900Vの電源供給をどうするかだ。
【2011年4月30日】
昨日買ったガイガーミュラー管(CK1026)を駆動する電源回路(予定仕様:入力DC6V/出力DC900V)の部品の一部をゲット。
パワーFET(30V/0.0040-0.0050Ω)、整流用ダイオード(1500V/1A/400nsec)と、DSO nano
v2用のmicro
SDメモリ(互換性未確認)。パワーFETは2SK3142と2SK2894の2種類買ってみた。ダイオードは、できれば、100nsecが良い。後、必
要な部品は、CMOSロジックIC、イグニッショントランス(ストロボ用でいいかな)、耐圧1500Vのコンデンサ類など。
【2011年5月1日】
今日は、引き続き、アキバで、部品を探索。
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予定の回路図は、右上画像だが、まだ、検証してないので、試作して確認する予定。あと、組み立てには、イグニッション・トランスが必要だが、店頭在庫が無 いようなので、代替部品を探さねば。まあ、趣味の電子工作なので、アキバで買える部品でのみ作るろう。上の回路図は、パクってきたけど、チェルノブイリ原 発事故のときに作った1号機は、パワーFETの代わりにパワートランジスタを使っているところを除いては、ほぼ同じ回路。
【2011年5月2日】
今日は、イグニッション・トランス以外の部品をゲットして、一次側の発信器とトランスのドライバまでの動作確認をしてみた。
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知人から周波数をもっと上げても良いのではという助言を受け、前の回路図のパラメータは少々、変更して、発信器の抵抗値は、1MΩとして、キャパシティ値を、470pFにしている。この変更で、周波数が、約7KHz になってます(右写真のオシロの波形)。まだ、イグニッション・トランスは、まだ無いので、ダミーで抵抗を、パワーFETの負荷に入れて計ってます。これ により、予定の回路図は、修正がかかって、、、
こんな感じ。ACアダプタの出力電圧は、計ってみると、約6.2Vだったので、47Ωの抵抗器の値の調整が必要になると思う。次は、トランスを、どうにかせんと、、、、
【2011年5月3日】
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この電源トランスの採用で回路図は、発信器の周波数を下げ、波形整形回路も外し、、、、

こんな感じ。明日、2W(余裕もって4Wにしとうこうか)の抵抗器を買ってこなければ、1Wだと、かなり熱くなる。保護回路は、面倒いので、100V未満のバリスタを入れてみる。なお、GM管からの信号は、データシートに依ると、12V以下となっている。
あと、DSP nano v2の使用感。ボタンが今ひとつ、押し難い感。少し出っぱりが欲しい。まあ、何か貼っておくか。
【2011年5月4日】
どうも、必要な電圧まで、上がらない感。出力パワーも足りてない感。三倍圧回路には、やはり、正負対象の波形が必要。回路図を更に見直し。明日、足りない
部品を買って、更にチャレンジ。よく考えると、いっぺんにDC900Vを作らず、DC450Vの回路を2つ作って、2つを直結する方が、楽かな。でも、取
り敢えず、今までの路線で行くところまで行こう(^_^;A。
明日、試す回路図は、、、、
こんな感じ。昨日、ゲットした電源トランスには、7V-8V-9Vと1V間隔が2つあるので、8Vをセンタにして、7Vと9Vへ半相ずらした信号を送るようにしてみる。これで、出力波形は、正負で対象になって、倍圧回路が予定通りに動作するはず。
今日は、回路図を見直して、再実験。
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なんとか、GM管からの信号がオシロから見えるようになってきた。あとは、なんとか、電気を食わないようにする工夫をせなば。
【2011年5月6日】
今日は、GM管の出力信号の記録方法を変更。DSO nano v2を予定していたが、AS-ISの機能だと、ロガーとして使えない事判明。そこで、何か、身近なもので、ロガーをということで、パソコンの録音機能を利用することに、これであれば、何時間でも記録できる。
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そもそも、ガイガーカウンタのイメージは、測定器からカリガリなる様なイメージで、線量も、数を数えられれば、事が済む。課題は、パソコンの録音機能へ渡す信号は、Max1Vにすることと、サンプリング周波数の周期より長いパルス幅になるようにすること。DSC nano v2で、パルス幅を、計ってみると、400μsec前後(上左写真)あるみたいなので、そのまま、行けそうだ。あとは、電圧の調整。回路図を見直した(上右画像)。
【2011年5月7日】
やっと、GM管から、パソコンまで、回路的につながりました。GM管の出力信号も、なんとか記録されることも確認できました。これで、秋葉原のパーツショップの商品(電子部品類)のみで、ガイガーカウンタが作れることも確認できた。
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なお、出力パルスの録音アプリは、フリーウェアAudacity(MacOSX版)を使って、32KHzサンプリングで、非圧縮signed 8bit AIFFファイルに書き出してます。このデータから、パルスの数を自作プログラム(下記)で、計数したところ、通常ケースは、7CPM(換算 0.058μsV/h)、マントルを付けたケースは、52CPM(換算0.433μsV/h)となりました。オーダ的には、SDM2000Uと同じだった ので、出来はまあまあかな。 GM管の出力パルスに、細いのと太いのがあるのが分かったが、細いのは、ノイズ(音として多めにバリバリ鳴ってる)かしら? しかし、GWのほとんどを費やしてしましった(T^T)ウック! あとは、定時定点観測用のブラシュアプだが、これは、後日、やろう。回路図は、昨日と同じ、、、、
こんな感じだが、幾つかの電子部品(電源トランスなど)は、定格以上で使用しているので、要注意です。47Ω/5Wが意外に熱くなっている。現状の回路 ベースでの改善の方向性としては、測定するときだけ、発信器を稼働させて、当該抵抗器の発熱時間(連続最長数分間ぐらい)を短くするとかな。
【AIFFファイルからパルスカウントプログラム】 (MacOSX 10.6.7/XCODE)
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// 入力ファイルが1分間分で、32KHzサンプリングで、
// 非圧縮signed 8bit AIFF形式という前提のプログラムです。
// また、電圧が低過ぎるパルスは、回路の仕様上無いはずなので、
// ノイズとして、カウントしません。
//
#include <stdio.h>
#include <sys/types.h>
#include <fcntl.h>
struct HEADER_CNK {
u_int32_t ckID;
int32_t ckSize;
u_int32_t formType;
};
struct HEADER_COM {
u_int32_t ckID;
int32_t ckSize;
short numChs;
u_int32_t numSam;
short samSize;
char samRate[10];
};
struct HEADER_SSND {
u_int32_t ckID;
int32_t ckSize;
u_int32_t oft;
u_int32_t blkSize;
};
main( int argc, char **argv )
{
int fp;
int ret;
struct HEADER_CNK hCnk;
struct HEADER_COM hCom;
struct HEADER_SSND hSsnd;
char sd;
char sd_prev;
char sd_prev_prev;
double svh = 0.0;
int cnt = 0;
fp = open( argv[1], O_RDONLY );
if (fp == -1) {
fprintf( stderr, "ERROR(%d), %s\n", __LINE__, argv[1] );
return -1;
}
ret = read( fp, &hCnk, sizeof(hCnk) );
ret = read( fp, &hCom, sizeof(hCom) );
ret = read( fp, &hSsnd, sizeof(hSsnd) );
for ( cnt=0, sd = sd_prev = sd_prev_prev = 0; ; ) {
ret = read( fp, &sd, sizeof(sd) );
if ( ret < 1 ) break;
if ( sd < 0 ) sd =0;
if ( (sd > 0) && (sd_prev > 0) && (sd_prev_prev == 0) ) cnt++;
sd_prev_prev = sd_prev;
sd_prev = sd;
}
close( fp );
// CPMからμsV/hへの変換は、0.00833をかけ算すれば良いみたいだ
// 但し、この係数は、この特定の条件での実験でのみ、有効な値。
svh = 0.00833 * (double)cnt ;
fprintf( stderr, "%d, %d, %d, count = %d, sv/h = %e\n",
hSsnd.ckSize, hSsnd.oft , hCom.samSize, cnt, svh );
}
【2011年5月8日】
取り敢えず、自作ガイガーカウンタに、電源制御を付ける場合の回路図を書いてみた(但し未検証)。
トランスのドライブ側には、パルス幅を制限する回路を付けているので、発信を止めるだけで、良いはずだ。
【まとめ】
- アキバでも、必ずしも、予定している電子部品が手に入るとは限らない。代用品も、知恵を絞ろう。
- 携帯型スロレージオシロDSO nano v2は、便利。
- 上記の電子回路は、目的の動作を実現しているけれど、良い設計とは言えません。もっと、適切な電子部品と出会えたり、手に入れば、もっと良い電子回路になる可能性が、十分あります。この回路では、昇圧トランスがもっとも重要な部品で、この選定でほぼ、周りが決まます。今、知人から、別のトランスの使用の助言をいただきましたので、その採用で、設計変更を予定してます。
- 今回、2台目の自作で、新たに得た知見としては、検出結果の記録に専用のレコーダは不要ということ。一般的なボイスレコーダを使う事で、長時間の記録が可能となること。これを実際に、パソコンのUSBサウンド変換アダプタを使用して、実際に、やってみたこと。
以上、GW終了!
【正誤訂正】
上記の回路図には、ダイオードの極性に誤りがありました。下の回路図が、現在の実態を表す回路図となっています。
【補足】
一応、以上の記事の内容を理解して上で、24h使用など、もっと真っ当に使用すること、を意識したエンハンスの方向性は、下記があるだろう。なお、言うまでもない事ですが、実験でなく、真面目な使用の方は、完成した製品をご購入して、お使い下さい。
- 使用している電圧以上の定格のトランスの採用して、回路設計を見直す。この手のトランスとしては、真空管用の電源トランスであれば、使える物がある。但し、50Hz前後での利用が前提になる。例えば、ノグチトランスの電源トランスPM-50010M(0-100-110V to 0-300-400-500V(10mA))。
多分、DC-DCコンバータとして使用するの難しく、AC100V(実効値)から、AC300Vへ昇圧すれば、交流の最大値は、1.4倍なので、2倍圧回路を入れれば、約2.82倍のDC846Vが得られる計算(下回路図)。AC100V側には、0.5Aのヒューズもお忘れなく。もしくは、AC400Vを2倍圧で使って、分圧してDC900Vにして、使うなど。但し、計測用のオペアンプは、-12V(0.2A)電源で駆動する必要があるが、その電源は、どうするかは、未検討。
もう少し考えて、GM管は、+846V側で使うことに変更して、
オペアンプあり版
オペアンプなし版なお、上右回路図を、2011年6月4日に製作完成している(下画像)。
上記はAC100V電源専用の据え置きタイプになる。定点観測用途では、むしろ、バッテリー使う機種よりも使い易いかと思う。
一応、DC9Vから、DC900Vへ昇圧する下回路(フライバックを利用)も試して、DC900Vの出力を確認している。しかしながら、これも、結局、ノグチトランスの耐圧500Vを超えた900Vを出力する使い方になるので、余り、お薦めできない。
あと、二次側のコンデンサの直列接続の保護回路は、現在、下回路図で考えている。
上記の保護回路付けると、下記の条件で、出力電圧が、DC900Vになった(追記2011年5月21日)。- 二次側の負荷抵抗: 60MΩ+6KΩ
- 発信周期: 600μsec~800μsec
- Hレベル時間(解放時間): 上記の内数で、30μsec
- 一次側の電源の47Ωの端子電圧が、1.77V(37.7mA)となった。前回は、3.2V(68.1mA)。どうもノグチトランスはコイル巻数が多過ぎるようだ。
- DC2000VまでのDC-DCコンバータモジュールも存在するので、出来合いのものを使うのもの良い。例えば、Bellnix MHV12-1.0K2000Pなど。これは、入力が12V前後で、出力電圧は、DC1000V(Max2mA)まで可変で設定できる。但し、この価格は、高めで、税別27K円弱。アキバだと、株式会社晴恒で扱っているが、取り寄せになる。
なお、秋葉原では、株式会社晴恒が取扱店(上写真)。これを使ったときの回路図案(下画像)。
- ガイガーミュラー管も内包するガスの種類で、扱い方次第で寿命がだいぶん異なるようだ。故障時の交換部品の入手も考えると、デッドストックでない製品の利用が、無難だろう。なお、この記事で取り上げたガイガーミュラ管は、定格以上の電圧をかけて使うと寿命がだいぶん短くなるとか。
- あと、トランスのドライブに関しては、電流を流し込むエッジよりも、電流を切るエッジの方が、巻き数比に近い昇圧が得られるので、上記の初期の回路図(インターネットの検索結果)で、保護ダイオードが入っているのは、昇圧の効率を悪くしている。トランスのドライブに使用するFETの耐圧を大きめにして、ダイオードを取る方が良い。
以上
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コメント
コンデンサの抵抗での分圧して耐圧を超えないようにされた
箇所は苦労が伺えます。寿命にも絡みますし。
出来合いのDC-DCモジュールが確実なのでしょうが、なんか負けた気分になる饕餮です。
お疲れさまでした。やっぱ、高電圧は難しい・・・
投稿: 饕餮 | 2011.05.22 00:05
勉強になりました
投稿: 774 | 2011.06.04 22:38